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(第1回)英語の音をありのままに聞くリスニング

英語の音をありのままに聞いていますか?

 

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英会話教室やSkypeのレッスン、TVラジオの英語講座、各種アプリ、書店に並ぶ英語学習書やTOEIC問題集など、日本人の英語学習熱はスゴイですね。

でも気になるのはその学習効果。上達しているという実感を持って、みなさんは英語を勉強されていますか。これが感じられなければ、英語が好きになれないのは当然です。

この特集では、なぜ英語が好きになれないのか理由を知り、どうすれば上達するのかについて解説します。英語は頭を使わない方が上達するなんて信じられますか?

 

スマホアプリでわかった日本人の英語学習の問題点

 

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なぜ上達が感じられないのか、考えるきっかけは、2014年4月”「Fun英語」毎日使える英語学習アプリ”をプレリリースしたことでした。

実はこのアプリは、カナダ、英国、米国、インドの技術者たちと検討したコンセプトを原型としています。日本の勉強スタイルとは異なり、海外では英語を身につけるために最適と思われている一般的な学習スタイルです。

Fun英語−毎日使える英語学習アプリ(iPhone用ダウンロード)

Fun英語−毎日使える英語学習アプリ(Android用ダウンロード)

なぜ海外の学習法なのか?それは日本人に比べて彼らが使える英語を学んでおり、その学習法を取り込むのは自然なことだからです。

その内容とは…

まとまった英文が読み上げられるので、聞きながら読み、その大意を把握することを繰り返します。ほとんど1文25ワード以内で易しく書き下ろしたオリジナルですが、難解な単語も入っていて、勉強している実感も得られます。

大意を理解できたかチェックするクイズで学習効果を確かめます。聞き取れないときは英文単位でリピートさせて何度も繰り返し確認できます。

わからない単語をロングタップすれば辞書が表示され、ストレス無く英語が読めるよう設計されています。しかも自動的に単語帳に登録され、自分用の辞書も簡単に作れます。

海外でテストしたところ、とても好評だったので、日本で英語が苦手な方々の役に立てると意気込んでリリースしました。…が、あまり評判が良くありません。そこで実際どう使われているのか調べてみることにしました。

すると、ほとんどのユーザは英語が読み上げられるのをただ聞いているだけで、聞き直すことも、辞書を引くこともしていませんでした。最初は英文が簡単すぎて、さっと読めてしまうのかと思いましたが、そんなはずはありません。

一方インドで協力してもらったユーザは様々な操作を試みていました。インド人の母国語はヒンディー語など地域特有の言語です。英語は第1外国語、またはヒンディー語に次ぐ第2外国語として学びます。学習者の条件は日本とほぼ同じです。

 

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こうした英語へのアプローチの差がなぜ生じるのか、更に調べてみることにしました。

 

日本人は英語の学習法を教わっていない?

 

ユーザにインタビューをして感想や意見を聞いてみました。その結果、日本人の英語学習の中心は「英語を聞き流す」ということがわかってきました。「多聴」と「聞き流し」がキーワードです。CMや英語学習書で数多く紹介されている言葉ですね。

まず英文を聞き流し、和訳で意味を確かめます。繰り返し聞くこともありますが、ほとんどの人は別の新たな英文にトライします。

ところがリリースしたアプリには、辞書はありますが和訳はありません。この点が一番不評でした。聞き取れない英語が流れても、もちろん聞き直したりしません。和訳がないので意味がわからず、そのうちやめてしまいます。

一方、海外の英語学習者は、聞き取れない英文があれば何度も聞きますし、意味がわからなければ自分で調べます。英文の中で英語を学ぼうという姿勢です。訳文は使いません。能動的に英語に働きかける学習です。

子供が覚えるように英語を覚えると言われる「多聴」「聞き流し」ですが、受動的なやり方のため効率が良くありません。実際に子供が言語を学ぶ過程は、もっと能動的です。これは別の機会にご紹介しましょう。

日本では和訳の無い英語教材は受け入れられませんが、海外では英語を英語で学ぶ方が、効果があると考えられています。日本人は使える英語を習得するための勉強法を教わっていなかったのです。

 

覚えた単語が英語の音を聞こえなくする?

 

なかでも大きな問題は、英語の音をありのまま聞こうとしていない点です。例えば、”d”の音が聞こえなくても文脈から類推できる、知らない単語は聞き取れないのが当たり前と言う人がいます。これはおかしな話です。

動詞の過去形”ed”の”d”の音が聞こえなければ、いつの話をしているのか理解できません。初めて聞く知らない単語でも、ネイティブスピーカーはリピートできます。どんなに短く弱い音でも聞き取っています。

日本語で「にほんご」の「ご」は聞こえなくてもよいでしょうか。意味がまったく違ってしまいます。

ではなぜこんなことが言われているのか?それは「英語の音を聞き取る」=「英単語を聞き取る」と誤解しているからです。実は日本の学校では、英語の音が聞き取れているかについて、テストもありませんし、教えてもいません。

最近Let it goをレリゴーと言うようになりました。でも初めてレリゴーと聞いて”Let”, “it”, “go”と書き取れるでしょうか。英文として覚えていなければ、英単語を知っていても理解することができません。

何の先入観も無い子供は、レリゴーと聞き取り、そのまま発音することができます。その意味が「ありのままに」と教えてもらえば、文字通りありのままに覚えます。

しかし一度英単語を覚えた大人は、この音に近い自分の知っている単語を引っ張り出そうとします。聞き取れない英語を書いてもらったら、全部知っている単語だったという経験があると思います。知っている単語を聞こうと待っているのに、実際の英語にそんな音は無いので、いつまでたっても聞き取れません。

 

英語の音をありのままに聞いていない

 

英語の音を聞き取るトレーニング法「カタカナ・ディクテーション」

 

もう一つ例を挙げましょう。LとRの聞き分けが難しいと言われます。Rの音はラリルレロに近いですが、Lの音はアイウエオやヤユヨに近い音です。stealの最後のLがそうです。ネイティブはスティールとは発音しません。スティーユやスティーゥと聞こえるはずです。

中国の現国家主席「習近平」を日本人はシュウキンペイと呼びますが、英語ではXi Jinping、中国語の発音に近いスペリングです。アルファベットが表音文字であることを利用して音を表現しています。中国語の音も聞かずにシュウキンペイと言い続けていても、中国語はマスターできません。

ですから日本人にとっての表音文字、カタカナをぜひ使うべきです。英語の音もほぼそのまま表現できます。このリスニング・トレーニング法を「カタカナ・ディクテーション」と呼んでいます。

ラムネという飲み物があります。皆さんはこれが英語だとお気づきでしょうか。ラムネはlemonade(和製英語でレモネード)の英語発音をそのままカタカナで記したものです。私達の先人は、英語の音をカタカナで表記する学習法を100年以上も前に発明していました。

またカタカナ英語=和製英語と考え、カタカナを使うことを拒否する人がいます。とんでもない誤解です。lemonadeをレモネード、stealをスティールと読むのがカタカナ英語、ラムネ、スティーゥと読むのがカタカナ・ディクテーションです。どちらが英語の音に近いかは明らかですね。

 

カタカナ・ディクテーション

 

英語の音が聞こえてくると違う世界が開ける?!

 

Let it goがレリゴーと聞こえるようになると、”t”の音が”リ”と聞こえることや、聞こえないほど弱い音になることに気づきます。つまりLet itの最初の”t i”はリに、次の”t”は聞こえません。聞こえなかった英語の音が、聞こえ始める瞬間です。

カタカナを使えば、存在する音を聞き逃したのか、存在しない音が聞こえたように感じたのか、音について個人が持っている癖を矯正することができます。

英文をカタカナで音として書き起こし、英語を音としてとらえるトレーニングを何度も行います。カタカナは英語の音を添削するためのツールです。決してカタカナ英語を教えているわけではありません。皆さんはこれまでに自分が聞いた(と思っている)英語の音が、正しいかどうか確認したことがあるでしょうか?

一度英語の音を意識し始めると、今まで聞こえなかった音が突然耳に入ってきます。反対にスペリングを見て、あると思っていた音が、実は聞こえていないことにも気づきます。こうして早い人ですと2−3日、遅い人でも1ヶ月も練習すると、これまでBGMにすぎなかった英語の音が正しく聞こえてきます。

音さえ聞こえれば、あとは覚えた英単語と対応を取るコツを学び、トレーニングすることで、一気にリスニング能力が向上します。また英語の音をカタカナで書き起こすために、聞き取れない英語の音を何度も繰り返し聞きます。

すると得意な音、不得意な音の傾向がわかってきます。ワークショップでは「カタカナ=聞き取った音」を添削することで、個人の癖を矯正していきます。

このカタカナを使ったリスニング練習を「精読」との対比から「精聴」と呼んでいます。冒頭で述べたアプリで、リピート操作をしない問題とは、英語の音をありのままに聞く練習をしていないということです。

聞こえた英文を音としてそのまま聞き取り、聞いた順番に、知っている単語や言い回しとの対応が付けられるようになればリスニングは完成です。つまり英語のリスニング学習法の第1歩を知らなかったため、上達の実感が得られなかったのです。

学校でも英語の音を何度も聞くよう指導していますが、間違いを矯正する手段がないので、限られた時間で行うことができません。多くの英語学習書も同様です。どれも英語の音を聞くよう書いていますが、その具体的な手段と矯正方法が示されていません。

 

まだまだある日本人の英語学習の問題点?!

 

英語習得で最初に押さえるべきポイントは「音」です。音→英語→意味という流れを再確認することが求められています。にもかかわらず、過去に覚えた文法や単語の知識が、その音を聞こえなくしています。頭を使い過ぎて、ありのままに聞くことができなくなっているのです。

アプリをリリースすることによってわかってきた日本人の英語学習の問題点はこれだけではありません。これから順次紹介していきますので、どうぞお楽しみに。

(第1回)英語の音をありのままに聞くリスニング
(第2回)英語脳を育てるリーディング
(第3回)英語で考えて話すスピーキング

(第4回)通じる英文メールライティング
(第5回)英語の学習に日本語は必要か?

質問があればいつでもinfo@funlearning.co.jpへお寄せ下さい。

「Fun英語」英語力強化ワークショップ

 

photo credit: synapse via photopin (license)

 

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