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(第2回)英語脳を育てるリーディング

英語を100%理解しようとしていませんか?

 

第1回では、スマホアプリでわかった日本人の英語学習の問題点から、ほとんどのユーザが英語の音をありのままに聞いていないことについて記しました。

(第1回)英語の音をありのままに聞くリスニング

リスニングができないのはボキャブラリー不足のためと考え、ひたすら英単語を覚える勉強に向かってしまいます。その結果、また音が聞き取れないという悪循環に陥ってしまいます。頭を使って英語の音を聞こうとするので上達できません。

この悪循環を断ち切るには「カタカナ・ディクテーション」が有効です。バイリンガル・チューターに、英語の音を聞くときの癖を直してもらえれば、リスニングスキルは驚くほど短期間で向上します。ぜひ皆さんも試してみてください。

 

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スマホアプリからわかった日本人の英語リーディングの問題点

今回(第2回)はリーディングについて触れてみましょう。2014年4月”「Fun英語」毎日使える英語学習アプリ”をプレリリースしたときから話は始まります。

このアプリは海外の技術者たちと検討したコンセプトを原型としています。日本の勉強スタイルとは異なり、海外では英語を身につけるために最適と思われている一般的な学習スタイルです。アプリについて詳しくは第1回をご覧下さい。

Fun英語−毎日使える英語学習アプリ(iPhone用ダウンロード)

Fun英語−毎日使える英語学習アプリ(Android用ダウンロード)

このアプリの使われ方を分析した結果は、ほとんどのユーザは英語が読み上げられるのをただ聞いている「聞き流し」でした。

英文も1文25語と簡単に読める工夫をしていますが、辞書なしですべて読めるほど易しくはありません。それでも辞書を引くことはほとんどありません。

大意チェックのクイズを解いたユーザは、読んだ人のうち半分もいません。和訳が無いので、どんな内容か確認するためにはクイズを解くしかありません。不正解の人ではなく、解こうとした人が半分もいなかったのです。

つまり、どこにも英文の意味を理解しようとした形跡が見当たりませんでした。英文を聞き流し(読み流し)、何のアクションもしていないのです。

 

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リスニングとリーディングで目標が違っている?

そこでユーザにインタビューをして感想や意見を聞いてみました。とても興味深いことがわかってきました。

当初はリスニングでの聞き流しと同様、リーディングでも読み流しをしているのだと考えていましたが、実態は少し違っていました。

リーディングのときは、わからない単語は辞書で引くというのです。スマホアプリでは辞書を引かないのに、リーディングでは辞書を引く。一見矛盾した行動に見えますが、実はとても簡単なことでした。

リスニングでは読み上げがどんどん進んで行くので、それを止めてまで辞書は引きません。だから聞き流しにならざるを得ません。

一方リーディングでは自分のペースで読めるので、わからない単語は辞書を引きながら読みます。1語でもわからない単語があると気になって仕方ないのです。

日本における英語リーディングの目標は、「大意を理解する」ことではなく、「100%意味を理解すること」に置かれていました。

言い換えれば、リスニングのときは「多聴」と「聞き流し」という低い目標が設定されています。ところがリーディングでは「100%理解」、つまり英単語1つでもわからないのは困るという極端に高い目標が設定されています。

心当たりがあるのではないでしょうか。和訳で意味を確かめないと気が済まない理由もこれでわかります。

 

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聞かないリスニングと読まないリーディング

ではなぜ”「Fun英語」毎日使える英語学習アプリ”では、100%理解を目指すのではなく、聞き流し、読み流しになってしまったのでしょう。それは1つの教材に対して、1つの役割を無意識に当てはめるためです。

アプリには読み上げ機能が付いていますから、これはリスニング教材です。そこでユーザは「これからリスニングの勉強をするぞ」というスイッチが入り、その学習スタイルが「聞き流し」になるのです。

あとで意味の理解についてチェックするクイズを出されると、「えっ!そんなつもりで聞いてなかった(読んでなかった)」となってしまいます。聞き流しですから、意味まで意識していなかったということです。

もし読み上げ音声が無かったら、それはリーディング教材です。辞書を引きながら読み進め、英文を進んだり戻ったりしながら分析し、きっと100%理解を目指していたことでしょう。

ただほとんどのユーザはリーディングが好きではありません。そのため大半のユーザは何も読まないのかもしれません。

日本でのリスニング学習は聞き流しで音楽を聞くように受動的です。しかしリーディングは辞書を引くなど自らが動く能動的学習です。だから辛いのです。まさに受験勉強ですね。

これではモチベーションも維持できません。日本人は本当に使える英語を学習する方法を教えてもらっていないのです。

 

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リーディングのコツは「曖昧な」状態に慣れること

さて英語を聞いたり読んだりする目的は何でしょうか。それは書かれている意味を把握するためです。

しかし日本では、リスニングは聞き流し、リーディングは100%理解です。「0点でもいい」と「100点でないとダメ」という極端な目標設定となっています。

一方ネイティブスピーカーが内容を理解したと言う英文について調べたところ、実際は全体の60%くらいしか把握していません。一言一句にこだわらないのは日本語でも同じです。「60点を目指す」学習で十分ということです。

もう一つ大切な要素にスピードがあります。意味を適切なスピードで理解することを日頃から意識しておくことが大切です。意味がすべてわからなくてもよい「曖昧な」状態に慣れる必要があります。

わからない単語があっても調べたりせず、文脈から類推して読み飛ばす。馴染みのあるテーマなら意味を想像しながら速く読む。そうでなければ遅くても仕方ない。

これら「曖昧な」状態を受け入れなければ、前から順に、適切なスピードで読むことができません。ところが多くの日本人は、この中途半端な状態に耐えられないのです。どうしても辞書を調べて100%理解を目指してしまいます。

少し我慢して意味を想像して考えてみる、後で辞書で確かめてみる、そういう過程を経ることで、単語は記憶に定着していきます。そして限られたボキャブラリーで、文章の意味を理解する練習をすることが大切です。

これが英語脳の素になります。和訳により100%の理解を続けても英語を英語で理解する練習にはなりません。

考えてもみてください、TOEICは和訳ではなく、英文の意味をどれだけ把握するかを測るテストです。早く効果を上げたいなら、英単語を覚えるより、英文の意味を把握することに力を注ぐ方が合理的です。

 

英語リーディングにおける2つの上達曲線

 

英文の意味を最適なレベルで理解するための3つの条件

 

ではどうすればよいのか?英文の意味を最適なレベル(60点程度)で理解するには3つの条件があります。

(条件1)前から順に後戻りしないで読む

(条件2)辞書は重要なときだけ引く

(条件3)スピードを上げて読む(200wpm目標)

これらを一つずつ見ていき解決策を探ってみましょう。

 

(条件1)前から順に後戻りしないで読む →スラッシュ・リーディング

 

自分で意味のかたまりを判断しながら、前から順番に「/」(スラッシュ)を入れ、同時に意味も理解しながら読み進めます。スラッシュを入れた後で、最初から読み直すことはしません。1回だけ読んで意味を把握します。

これを「スラッシュ・リーディング」と呼んでいます。聞いたことがあるかもしれませんが、私たちの方法は少し違っていますので、注意が必要です。

例えば、

The FBI is ramping up its facial recognition database.

という英文を前から読んでいきましょう。最初のうちは頭の中で( )内のように意味を呟いてみます。

The FBI(FBIだ、アメリカの警察だね)

is ramping up(ランプ?意味わかんないけど、upだから上げる?増やす?)

its facial recognition database(フェーシャル→化粧品で聞いたことある→「顔の」だね、recognitionはよくわからないけど、データベースは日本語。顔・何とか・データベース)

という感じです。

切れ目を入れるとこうなります。

The FBI / is ramping up / its facial recognition database.

このとき区切り記号(/)がスラッシュです。前から順に意味のかたまり毎にスラッシュを入れ、区切りながら意味も理解していきます。1度しか読みません。

読み方はこうなります。

FBI=アメリカの警察が / ランプアップ?upだから上げる?増やす? / 顔、何とか、データベースを

この程度の理解で次の文へ進みます。わからない単語があっても、後に続く英文に必ずその手掛りがあります。日頃読んでいる日本語もそのように読まれているはずです。

 

(条件2)辞書は重要なときだけ引く

 

辞書を引きたくなりますが、それではやはり時間が足りなくなります。わからない単語があっても「何とか?」や(英語のまま)で済ませます。

いい加減な想像でも意味が通ればOK、どんどん前に読み進めます。文章の後の方で手掛りが見つかるかもしれません。

「FBIが、ランプアップする?顔何とか?データベースを」という感じです。前から順に読んでいく習慣をつけることが大切です。単語の意味にこだわって後戻りしてしまうと、その読み方からずっと抜け出すことはできません。

またコンテキスト(文脈)からわからない単語を想像することになるため、ただの丸暗記ではなくエピソードと共に記憶に定着するという効果があります。このようにして5-6回、異なる文脈で出会った単語は忘れないとも言われています。

 

(条件3)スピードを上げて読む(200wpm目標)

 

以上の習慣ができれば一気にスピードアップするはずです。一度ストップウォッチで1分間当り何語(ワード)読めるか(wpm = word per minute)測ってみましょう。

TOEICで最後まで問題が解けない、リスニングで選択肢が最後まで読めないという方は100〜150wpmです。TOEICのスコアアップを狙うなら、最低200wpmを目指してください。一般のネイティブスピーカーは平均300wpmです。

「リーディングはできる」と言う方は多いのですが、ほとんどは辞書に頼りながら、文法に従って英文を前後に進んだり戻ったりする読み方です。これだと100〜150wpmが限界、TOEICスコアを上げることは難しいでしょう。

第1回で紹介したカタカナ・ディクテーションを練習することで、英語の音を聞いて英文との対応が取れれば、あとは頭の中でスラッシュ・リーディングをして読んでいくことがリスニングです。200wpmはちょうどこれくらいのスピードですから、スラッシュ・リーディングを練習することでリスニングも上達します。

また文脈を意識しながら読む(コンテキスト=文脈・リーディング)、英文の幹と枝葉を区別する(補足リーディング)、次に何が出てくるか予想しながら読む(予測リーディング)など、さらにネイティブに近い読み方ができれば、TOEICスコアアップに役立ちます。これらは別の機会に順次詳しくご紹介します。

 

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まだまだある日本人の英語学習の問題点?!

第2回のリーディング特集はいかがでしたか。「あいまい」な状態に慣れるとは、前から順番に想像力を使って読むことです。

記憶をたどって単語を思い出し、文法を使って分析する読み方では、上達は難しいでしょう。頭を使い過ぎて、英文の順に読むことができなくなっているのです。

アプリをリリースしたことでわかった日本人の英語学習の問題点はまだまだあります。これらは別の機会にご紹介することにして、本特集は次に進むことにしましょう。次回はスピーキングに焦点を当てていきます。どうぞお楽しみに。

(第1回)英語の音をありのままに聞くリスニング
(第2回)英語脳を育てるリーディング
(第3回)英語で考えて話すスピーキング

(第4回)通じる英文メールライティング
(第5回)英語の学習に日本語は必要か?

質問があればいつでもinfo@funlearning.co.jpへお寄せ下さい。

「Fun英語」英語力強化ワークショップ

 

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