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(第5回)英語の学習に日本語は必要か?

英語の学習に日本語は必要か?

これまでの4回の特集記事で、英語の4つのスキルを、日本語を介さずに学ぶ方法を記してきました。今回はいわゆる「英語脳」と呼ばれる、英語を英語で理解するスキルとはどういうことかについて整理してみます。

(第1回)英語の音をありのままに聞くリスニング
(第2回)英語脳を育てるリーディング
(第3回)英語で考えて話すスピーキング

(第4回)通じる英文メールライティング

 

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まずみなさんは英語の学習に日本語、つまり和訳は欠かせないと思っていませんか。実は英語を学ぶときに和訳を使う必要はありません。むしろ効率はよくないと言ってもよいでしょう。

例えば、アメリカの英語学校(ESL:English as Second Language)では訳は一切使いません。中南米やウクライナなど、世界各地からの移民のためにスペイン語やロシア語の訳を用意したりはしていません。それなのに彼らは、なぜわずかな時間で英語が話せるようになるのでしょうか。

他にも英語の試験TOEICがあります。TOEICにも訳がありません。むしろ、いかに速いスピードで英文を読み、全体の意味を理解できるかを試される試験です。またヨーロッパのある国では、経済的な理由から、英語のTV放送の自国語の字幕がなくなったため、かえって国民の英語力が上がったそうです。

つまり海外で使える英語を効率よく学習しているところには、訳を使っているところはそれほど無いのです。

 

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訳があると何が良いのか?

だからと言って、和訳が不要というわけではありません。もし英語の実力がついてきて、英語の音や一つひとつの単語の意味が聞き取れ、理解できるようになったら、一度、全文訳(訳出)に挑戦してみるとよいでしょう。

海外では英語を学ぶとき、中級から上級になりかけている学習者向けの練習として訳を使います。初級から中級の間は、英語は英語のまま理解する方が簡単だからです。いえ、英語のままが簡単なのではなく、訳することが難しいと言った方が正確です。訳出の効果は、これまで曖昧な理解(これでも十分英語を理解して話せているのですが)のレベルをさらに向上させ、より正確に理解することにあります。

 

訳があると何が問題なのか?

では初級から中級者にとって、訳があると何が問題なのでしょう。まず挙げられるのは、細かな意味ばかりに注意が向けられ、全体を把握することがおろそかになることです。これまで4回の特集記事で説明してきたことですが、英語を聞いたり読んだりする目的は、内容を把握することです。そこにはスピードという要素があり、訳を考えている余裕はありません。またそのためには英語を英語で理解する力をつけることが必要ですから、訳の存在そのものが、英語学習の妨げになってしまうのです。

もう一つ大きな問題は、リスニング、リーディング、スピーキング、ライティングの4つのスキルがバランスよく鍛えられないことです。例えばリーディングを例に挙げると「英文→和訳→意味を理解」で完結してしまいます。スピーキングなら「日本語→英訳→英文らしきものができる」、単語であれば「英単語→和訳→意味がわかる」と、最後は何となく意味がわかったとなり、各スキルの学習の中で終わってしまうのです。

英語には音を聞いたり、前から順に読んだり、わからない単語やフレーズの意味を想像したり、多くの神経回路や脳の活動が伴います。しかも英語の4つのスキルはお互いに関係しあったり、補足しあったりしながら、全体としてレベルアップしていきます。

和訳や英訳を使うことで、これら4つのスキルは分断され、お互いに関連しあっているという実感を得ることができなくなってしまいます。日本人の英語学習では4つのスキルを別々に学習する習慣が、いつのまにかできあがってしまいました。

 

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英語の4つのスキルは別々に学べるか?

日本人の英語学習者のよくある質問に、「リーディングはできるのでリスニングを勉強したい」「TOEICのリスニングはスコアが取れるので、リーディングを何とかしたい」「スピーキングができるようになるにはどうしたらいいか」というものがあります。これらは「日本語で意味を理解する」ステップが前提です。英語のスキルは別々に学ぶものという思い込みがあるのかもしれません。

ところが、これら4つのスキルを別々に学習するのは決して効率が良いとは言えません。例えば、前から順番にリーディングができなければ、英語の音を順に聞き取るリスニングもできません。リーディングの練習はリスニングの役に立ち、その逆のこともあるのです。

1つの練習だけでは飽きてしまうという問題もあり、相互に関連づけて学習する方が効率的です。何を優先して学習すればよいのかを知ることができれば、短時間で一気に英語力を伸ばすこともできます。日本語を使わず、英語を英語で理解する「英語脳」を育てる近道でもあります。

 

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リスニング習得の必要条件

それでは4つのスキルをどのように関連づけて学習すればよいのかを見ていきましょう。

まずどのような状況にあるのか、わかっていることが前提です。そして英語は「音」が聞き分けられなければ始まりません。次に「音」から「意味」を想い起こせることが必要です。

例えば「レリゴー」という音が「Let it go.」に対応させられれば、意識の中に取り込めます。意味の小さな塊が繰り返され、前から順につなげていくことで、全体の意味を理解することができます。これら一連のプロセスがリスニングです。

ただしネイティブ・スピーカーであっても、意味は50-60%くらいしか理解していません。日本人も日本語を聞いて、その一言一句すべてを意識しているわけではないように、単語の意味すべてを理解しようなどと思わないことが重要です。

以上の作業をまとめると、

1.     状況を理解する
2.     音を聞き分ける
3.     意味を小さな塊の単位で理解する
4.     前から順番に意味をつないでいく
5.     音と英文(文字)の対応ができる

となります。

このうち、音が関係するのは2と5だけで、1,3,4は実はリーディングと同じ作業をしています。リーディングでは状況=文脈(コンテキスト)となります。リスニングのスキルを磨くには、3と4の練習をリーディングでもしておくことが必要です。

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スピーキング習得の必要条件

次にスピーキングについて考えてみましょう。相手が話す言葉を聞き、理解することが前提ですから、やはり「音」を聞き分けられなければいけません。しかも英語の音が聞き分けられなければ、言葉を出すこと(発音)もできません。

言葉は「状況」に応じて覚えた表現をそのまま使うことから始まり、より適切な単語やフレーズに入れ替えて応用していきます。これら一連のプロセスがスピーキングです。

1.     状況を理解する
2.     音を聞き分ける
3.     意味を塊で理解する
4.     前から順番に意味をつないでいく
5.     音と文字(英文)の対応ができる
6.     状況に応じてそのまま、または単語を入れ替えて声に出してみる(ライティングではタイプや紙に書いてみる)

となります。

1から5まで、すべてリスニングと同じです。違いは6だけです。スピーキングのスキル向上に、リスニングの練習は欠かせないのです。

 

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リーディングは英語学習の基礎

以上をまとめますと、リーディング→リスニング→スピーキング/ライティングの順に練習すると効率が良さそうです。前から順にリーディングができないと、リスニングも難しいでしょう。

最低でも英語の音に対して、スクリプトを見ながらでも、そのスピードで前から順番に意味が理解できないとリスニングはできません。音はとても重要ですから、このようにリーディングとリスニングを同時に練習することをお勧めします。

つまりリーディングの練習をするときに、読むスピード、前から順に読み決して後戻りしない、状況=コンテキスト(文脈)と共に基本表現を覚える、意味を理解する、の4つに留意できれば、リスニング・スキルの向上も期待できます。

さらに、覚えた表現を声に出す/書いてみることがスピーキングやライティングの練習につながります。

 

日本語はどこへ行った?

さて以上の学習ステップで和訳=日本語は必要でしょうか。日本語が途中に入ると読むスピードが格段に遅くなります。また語順が違うため前から順番に読むことができません。この2点が「英語脳」の育成を妨げる要因となります。

ですから学習法として、まず大まかな意味を理解することに集中し、わからないところは意味を想像してみます。特にリスニングのときは辞書を引く時間もありません。これをリーディングのときにトレーニングしておくのです。

単語の意味を覚えるより、どうすれば意味を想像できるかトレーニングする方が実戦的です。このようにリーディングで全体の50-60%の理解ができれば、リスニング、スピーキング、ライティングのすべてが同時にできるようになります。もちろん和訳を介在させたりしません。

 

ボキャブラリーが少なくても英語は話せる

海外の英語学習では、状況に応じて意味を想像し、話したいことに近い表現を見つけるができる、そんなトレーニングを積んでいることがわかります。おかげでボキャブラリーがそれほど無いのに、話したり聞いたりすることができるのです。これこそが「英語脳」です。反対にどんなに単語を覚えても、なぜ英語が話せるようにならないのかもわかりますね。

もう一つ例を挙げてみましょう。日本語で「障害」と訳される単語に、hurdleとobstacleがあります。和訳を使わずhurdle = 柵のようなもの、obstacle = 塊のようなものがイメージ出来ると、スピーキングやライティングで、hurdleはget overしたい(乗り越えたい)、obstacleはbreak throughしたい(突破したい)ものとして捉えることができます。

この感覚が頭の中に出来るかどうかが大切です。どちらも「障害」と覚えているだけでは、この感覚は永遠に生まれてきません。こういうことが脳の中で起こることを期待しているのです。

 

もったいない勉強をしていませんか?

このように考えると、これまでの英語学習法には多くのムダがあるのではないでしょうか。例えば、

・  TOEICのテストに和訳は出題されないのに和訳で勉強している
・  リスニングにも、TOEICにも、英語には時間の制約があるのに、英文を前方に進んだり、後方に戻ったりするリーディングをしている
・  100%理解など誰も求めていないのに、辞書を引きながら和訳に頼って100%意味を理解する勉強をしている

これでは話すスピードに合わせてリスニングすることも、TOEICを最後まで解く時間も確保できません。目標に向かって最短コースを取る英語学習法を、いますぐ身につけることが大切です。

 

(第1回)英語の音をありのままに聞くリスニング
(第2回)英語脳を育てるリーディング
(第3回)英語で考えて話すスピーキング

(第4回)通じる英文メールライティング
(第5回)英語の学習に日本語は必要か?

 

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