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ビジネスで外国人と理解しあうための3つのヒント

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前回、英語を学ぶヒントとして、好きなことから始めると続きます。好きなこととは、お互いが共通に理解しあえる土台のようなものです。このことを考えるきっかけになった出来事を、今回はご紹介しようと思います。

フランス人エンジニアと日本人技術者の会話

15年ほど前、メーカーで技術開発のマネージャという立場にありました。今では当たり前ですが、当時としては画期的な全面タッチパネルの携帯電話を、フランスの携帯電話会社とアメリカの研究所という日米仏3カ国の共同プロジェクトに参加していました。

英語ができるということと、通訳ができるということは、まったく違う能力なのですが、これはまたの機会にお話することにして、いつものように疲れ果てながら噛み合わない議論の通訳をしていました。

あるとき、フランス語アクセントの英語を話すフランス人エンジニアと、英語が苦手な日本人技術者との間で、通訳をしていたときのことです。プログラミングの細部にわたる内容を理解しないと通訳もできず時間ばかりかかって、とても効率の悪い会議になってしまいました。

やがて通訳とその補足説明が面倒になり、冗談半分でプログラミング言語で話してみたらと提案してみました。まさか本当にするとは思っていなかったのですが、彼らはホワイトボードでプログラミング言語を書き始め、一緒に議論を始めたのです。
実はそのときの彼らの姿に少し感動しました。これまで通訳を挟んで向かい合って、互いの意見を主張していたのに、ホワイトボードに並んで何か書き込んだり消したり、ときどき考え込んだりしながら、一緒に作業を始めたのです。

10分ほど経って2人は振り返り「解決した」と微笑んだのでした。「対立」する相手から、「協調」して並んで課題に向かう仲間に変化した瞬間が、とても印象的でした。
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理解し合うためにはお互いの共通点を探るしかない

このエピソードから、コミュニケーションにおいて重要なのは言語だけではなく、どの分野であれ何か共通の理解を持てるかどうかが重要であることに気づきました。英語が話せることよりも、同じ専門分野であるか、同じ興味を持てるか、置かれている環境が同じであるか、といったことがとても重要なのです。熱狂的なサッカーファンが、言葉に頼らなくてもお互いに盛り上がっている姿を見たことがあります。好きな分野を見つけて、これをきっかけに英語学習を始められれば、どれほど効率が良いでしょう。

英語ができるということは、初対面でもお互いの共通点を探ることができ、コミュニケーションも取りやすいのですから、断然有利であることに変わりはありません。しかし、たとえ英語ができなくても、お互いの共通点から入ることができれば何とかなるのです。英語を学ぶことよりも、英語でコミュニケーションできるようになることが重要なのだと、改めて気づかされました。

 

米国人とフランス人の議論

もう一つ面白い例があります。これは同じプロジェクトで、米国人とフランス人の技術マネージャ同士が対立したケースです。

米国人マネージャは3カ国のグローバルなプロジェクトだから、標準のルールを決めて進めるべきだと主張していました。一方、フランス人マネージャは、自分たちがこれまでやってきたやり方でないと機能しない、機能しなければプロジェクトは成功しないと主張していました。議論は30分以上続きました。典型的な米国とフランスの対立だなと、野次馬感覚で成り行きを見ていました。これも日本人の典型的なスタイルかもしれません。

結果はフランスの寄り切りです。標準化というものは、多くの参加者がいるときに民主主義的に決まるものです。1対1で対立するように、50%が機能しなくなるような標準化はありえません。

(注)米国式のやり方を否定しているわけではありません。このときは残念ながら共通の土台を築けなかったということです。

しかし何よりも、お互い英語で議論していたのですが、共通の理解となり得るような土台が何も構築されませんでした。グローバル化を主張する米国、文化を大切にするフランス、日和見の日本、本当に風刺画になりそうな状況ではありませんか。
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譲らないフランス人を説得

さて、このようなフランス人マネージャと、日本人マネージャが対立するときがやってきました。すべての設計を文書化せよというのがフランス側の主張です。

(注)技術的には設計は文書化すべきですし、そうするよう指導されてきましたのでフランス人マネージャの主張は正しいものです。

このとき、米国人とのやり取りから学んで取った交渉術は、そのまま相手の論理を使うことでした。

「日本では文書化などという無駄な作業をしなくても設計できるし、そういうやり方をこれまでもしてきた。」

「慣れない文書化作業をすれば、この共同プロジェクトは機能しなくなる。」「しかし、それではフランス側も機能しなくなるので問題だ。だから、これだけは絶対必要だという設計書類を10個挙げてほしい。」

「日本側は本来不要なものだが、これがなければプロジェクトが進まないのなら仕方がない。やってあげよう。」

この作戦は、両者の違いの中に、共通の理解を育む作業を提案することでした。日本人にとっては文書化するメリットを知り、フランス人にとっては文書化しないでどう作業するのかを知る、お互いに相手のことを理解する良い機会にもなりました。フランス人マネージャはこの提案を快く受け入れてくれました。彼は後に「自分たちの文化に誇りをもっている。それと同じように他国の文化も尊重する。ただし一番はフランスだが」と笑っていました。

 

語学を学ぶとは共通の理解を探すこと

さて英語ができても、何を話すかによって、お互いに理解できることもあれば、物別れや一方的な勝ち負けになってしまうこともあります。通訳などを頼まれて日本人の交渉を見ていると、土下座をせんばかりに頼み込んだり、客はこっちだという傲慢な態度を取ったりすることが多いように思います。

コミュニケーションを円滑に行うために、自分の立場を主張することの他に、共通に理解していることが何かを知ることが重要です。そのため相手の言語を学ぶ必要があるのですが、実はこれらは表裏一体の関係です。共通に理解していることを足がかりにすれば、言語を学ぶうえでも大きな助けになります。

重要なポイントは、いま自分は何を理解しているのか、その中で相手との共通点はどこにあるのかを知ることです。コンテキストを知ると言っても良いでしょう。職業、趣味などいろいろ考えられます。誰にでも当てはまることとして、好きなことを土台にする、そして好きなことについて英語で学ぶのが最も効率的だと言えるのです。
英語ができればグローバルになれるわけではありません。共通の理解、とりわけお互いが好きなことで共感しあうこと、これが英語学習を助けてくれることに、早く気づいて欲しいと願っています。

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