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8歳児、海を渡る ~親として考えてみてください~

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最近、海外旅行や留学の低年齢化が進み、我が子を小さいうちから海外へ送り出す親御さんがとても多いようです。それに合わせて留学センターや旅行代理店でもサポート体制の整った多種多様なプランを用意しているところがとても多いです。

しかし、サポート体制がしっかりしているという理由だけで、まだ小さな我が子を海外の言葉も習慣も違う土地へ預けて大丈夫なのでしょうか?

今回は先月私が出会った、夏休みプログラムでホームステイをしていた8歳児の女の子の話をしようと思います。

 

お友達からヘルプを受けて会ってみた

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私が娘を連れて行っている図書館のキッズプログラムで知り合ったニュージーランド人の彼女には、3人の娘さんとホームステイをしている中国人の女子高生、それから先週ホームステイを始めた日本人の小学生の女の子がいました。よく収入の一部としてホームステイを受け入れているファミリーがいますが、彼女はボランティア精神を持って受け入れをしていて、とても親切で明るく、私の目から見てもこのホストマザーのもとで暮らせるのはとっても幸せだと思える方です。

その日、図書館へ行くと彼女が困り果てた顔で私に近寄ってきて相談があると言うのです。何だろう?と思いながら話を聞くと、受け入れている8歳の日本人の女の子の扱いに困っているとのこと。

女の子は12歳のお姉ちゃんと近くの市立小学校へ通いながらホームステイをするというプログラムに参加しているらしいのですが、日本語を使ってほしくないというご両親の希望でホームステイ先は別々にして滞在しているそうです。

ところが学校へ1週間通ったところで学校側からホストマザーへ連絡が入り、授業料を返金するから彼女はもう連れてこないでほしいと言われたそうです。クラスにいても何も話せず何も理解できず、クラスから常に逃げ出そうとするので学校の安全基準に達しないということで退学処分としますとのことでした。

ご両親はホームステイだけでも継続を望んでいたので、仕方なくホームステイだけの契約に切り替えたそうですが、この彼女がホストファミリーを恐怖に陥れたらしいのです。

 

女の子の持つ問題とは?

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ホストマザー曰く、とにかく無表情に何も反応せず、YESとNOの意志もないとのこと。それなのにいきなり大泣きして夜中じゅう寝なかったり、ご飯が口に合わないのか全然食べてくれないのに、夜の11時頃起きてきて冷蔵庫を勝手に開けていたり、とにかく奇怪な行動が多いとのことなのです。

おそらくホームシックになっているのだと思うのだけれども、ホームシックなの?と聞いても英語がわからないのか反応がなく、どうしたらいいのかわからないのだとのことでした。

段々家族はこの女の子への不信感が募ってしまい、にこりともしないその感情のない表情を持つその子に少しサイコめいた印象を持ってしまったらしく、しまいには自分の娘の首に手を掛けていたのを見てしまったといったようなことも私に話していました。

 

気になるので会ってみました

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一度電話で話してほしいとのことだったので電話で話をしてみたのですが、私が話しても名前以外は何も語らず反応もなく、しまいには受話器を置いてどこかへ行ってしまったようで話をすることは不可能でした。しかしなんだか気になって放っておくことができなかったので会ってみることにしました。

実際会ってみると、とっても小柄なその子は私の目からはとても普通に見え、確かに人見知りかなとは感じましたが、私も日本人であるというだけで彼女にとっては知らない人。話もしにくいだろうと思い、しばらく様子を見ていたところ、段々話をするようになりご家族の写真や飼っている犬の動画を見せてくれ始めました。

ホストマザーは良い人?と聞いたらいい人だけど早く帰りたい、学校は何もわからずつまらなかったとのことで、元々20日間のプログラムだったのでまだ1週間残っているのだけれど出来ればすぐにでも日本に帰りたいとのことでした。学校から逃げ出したの?と聞いたら、トイレに行きたかっただけなのに止められてどうしたらいいのかわからなかったと話していました。

日本で英会話に通っていたらしいのですが、ホストファミリーや学校で聞く英語は全くわからないそうで自分の主張や質問等はほとんど聞けないと話していました。

食事もそもそも肉類が苦手で好き嫌いが多い彼女には全く合わず、全然ご飯も食べられないとのことで、私の家で手巻き寿司しようか?と聞いたところついてくるとのことで、お母様に了承を得てその日の夜だけ彼女を家に連れて帰ることにしました。

 

私達日本人にとっては、ごくごく普通の子なのです

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夕食を共にしましたが、本当に普通のどこにでもいる小学生でした。普通に笑いもするし、家族やお友達の話もするし、私の娘に絵本も呼んでくれました。ただ英語でコミュニケーションが取れなかっただけでサイコのように言われてしまった彼女を、私は心の底から哀れに思いました。

彼女はその後も何とかホストファミリーの知り合いの日本人に交代に世話になり、何とか滞在を終えて日本へ帰って行きましたが、今回の旅行が彼女の英語に対する姿勢を後ろ向きにさせたり今回の体験がトラウマにならなければいいなと私は思います。

責めるべきは親か?一概にそうでもなさそうです。彼女は短期留学2回目、お姉ちゃんは12歳にして4度の短期留学をしているそうです。どのような状況下で留学をしていたかは聞くまでに至りませんでしたが、いずれもとても楽しかったそうです。もしかしたら通った先が普通の小学校ではなく語学学校だったのかもしれませんし、ホームステイ先が日本人だったのかもしれませんし、またホームステイを姉妹でしていたのかもしれません。ただ今回の留学は彼女の肌に合わなかっただけなのかもしれません。

しかし今回関わったどの人々もが言うのが、「8歳にして一人での留学は早すぎる」でした。毎週の英会話教室とおそらく家では会話も出来ていたのかもしれないその子を見て、ご両親が過信してしまったとしか考えられないとの意見が全てでした。

私は小学生の頃、習っていたクラシックバレエの合宿に参加したことがありますが、2泊3日の合宿の1日目に、両親への恋しさで寂しくて、朝方まで眠れなかったのを覚えています。「おばけなんてないさ」の歌を頭のなかで歌いながら、最後に時計を見たのが明け方の4時8分だったことまでいまだ鮮明に覚えています。

語学の習得は早ければ早いほうがいいというのはおそらく本当です。ある程度の年齢に達してしまったらナチュラルに英語を話すこともできなくなるでしょう。しかし、この状態にしてまでの留学が必要か?我が子がこういった環境に順応できる心の持ち主か?まだ自身での判断力もない子供を一人で海外へ送り出すことに意味があり、また安全に出来るのか?我が子を送り出す前に今一度考えていただきたいと感じます。

今や日本国内でも英語を習得する機会は沢山あります。留学=海外留学と考えず、もう少し国内で出来ることや使える機関を考えてみるのも方法のひとつかもしれませんね!

 

About white

日本でシステムエンジニアとして8年働いたところで、急に思い立って職業給付金を利用し英語学校へ1年行き、アメリカのアダルトスクールでの3か月短期留学を経験。 その後、ワーキングホリデービザにてオーストラリアへ渡豪し、一度日本に戻るも一年後にIBM Australiaへ再就職し渡豪、オーストラリア人と結婚し現在1児の母として奮闘中。 英会話講師の家へホームステイ、オーストラリアでの各種短期留学受付中です。詳しくは→http://www.ab.auone-net.jp/~aus-life/